権利関係 制限行為能力者について
- 涼 濱中
- 3月18日
- 読了時間: 3分

制限行為能力者とは?
制限行為能力者とは、精神的な成熟度や判断能力が十分でないため、法律行為を単独で行うことが制限されている人のことです。具体的には、以下の4つの類型があります。
未成年者
成年被後見人
被保佐人
被補助人
これらの人々は、単独で契約などの法律行為を行うことができず、原則として法定代理人(親権者や成年後見人など)の同意が必要です。
未成年者
未成年者は、成年年齢未満の人を指します。2022年4月1日の民法改正により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたため、18歳未満の人が未成年者となります。
未成年者の法律行為
未成年者は、原則として単独で法律行為を行うことができません。未成年者が単独で行った法律行為は、法定代理人(親権者など)が取り消すことができます。
ただし、例外として、以下の法律行為は単独で行うことができます。
単に利益を得る行為(例:贈与を受ける)
年齢および能力に応じた日常生活に必要な行為(例:文房具の購入)
法定代理人が処分を許した財産の処分(例:お小遣いを使う)
営業を許された未成年者のその営業に関する行為
未成年者の取消権
未成年者が単独で行った法律行為は、以下の者が取り消すことができます。
未成年者本人
法定代理人(親権者など)
成年後見人
保佐人
補助人
取消権は、追認することができる時から5年間、または行為の時から20年間行使しないと消滅します。
成年年齢引き下げによる影響
成年年齢の引き下げにより、18歳・19歳の未成年者は成年として扱われることになりました。これにより、以下の点が変更されました。
18歳・19歳は、親の同意なしに契約やローンを組むことができる
18歳・19歳は、親の同意なしに不動産取引を行うことができる
未成年者取消権は18歳未満の人のみ行使できる
成年被後見人
成年被後見人とは、精神上の障害により、常に判断能力を欠く状態にある人について、家庭裁判所が後見開始の審判をした人を指します。
成年後見制度
成年後見制度は、判断能力が不十分な人を法律的に保護し、支援するための制度です。成年後見制度には、後見、保佐、補助の3つの類型があります。
後見:判断能力を欠く人を対象
保佐:判断能力が著しく不十分な人を対象
補助:判断能力が不十分な人を対象
成年被後見人の法律行為
成年被後見人は、原則として単独で法律行為を行うことができません。成年被後見人が単独で行った法律行為は、成年後見人が取り消すことができます。
ただし、例外として、以下の法律行為は単独で行うことができます。
日用品の購入その他日常生活に関する行為
成年後見人の役割
成年後見人は、成年被後見人の財産管理や身上監護(生活や医療に関する支援)を行います。具体的には、以下の業務を行います。
財産管理:預貯金や不動産の管理、税金の支払いなど
身上監護:介護サービスの契約、医療費の支払い、住居の確保など
成年後見制度の利用
成年後見制度を利用するには、家庭裁判所に後見開始の申立てをする必要があります。申立てができる人は、本人、配偶者、四親等内の親族などです。
宅建試験における制限行為能力者の重要ポイント
宅建試験では、制限行為能力者に関する以下の点が重要となります。
各制限行為能力者の定義と法律行為の制限
取消権を行使できる人とその期間
成年年齢引き下げによる影響
制限行為能力者と取引した場合の相手方保護
まとめ
今回の記事では、制限行為能力者のうち、特に重要な未成年者と成年被後見人について解説しました。成年年齢の引き下げにより、制限行為能力者の制度は大きく変化しています。 これらの変更点を踏まえた上で、各制限行為能力者の定義や法律行為の制限、取消権などについて理解しておくことが重要です。
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