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契約の「存続期間」いつまで借りられるの?

  • 執筆者の写真: 涼 濱中
    涼 濱中
  • 6 時間前
  • 読了時間: 4分

こんにちは!S&S.Labo株式会社です。

前回の続きを書いていこうと思います。

それぞれの契約が「いつまで続くのか」という点、つまり存続期間について見ていきましょう。ここにも賃貸借と使用貸借の大きな違いがあります。


2-1. 賃貸借契約の存続期間~原則は2年、更新もできる~

賃貸借契約の存続期間は、原則として当事者間で自由に定めることができます。ただし、民法では期間の上限が定められていました(改正前民法では20年)。しかし、2020年4月1日施行の改正民法により、この上限は撤廃されました。現在は、当事者が合意すれば何年でも期間を定めることができるようになっています。

ただし、一般的に私たちが「家を借りる」という場合、多くの賃貸借契約は「建物の賃貸借」にあたります。建物の賃貸借については、民法だけでなく、「借地借家法」という特別な法律が適用されます。この借地借家法は、借りる人(借主)を保護するために、民法よりも厳しいルールを定めています。


【借地借家法における建物の賃貸借期間】

  • 期間の定めがある場合:

    • 普通借家契約: 最低期間は1年とされています。1年未満の期間を定めても、それは期間の定めのない契約とみなされます。多くの場合、2年契約で更新を繰り返していく形になります。更新時には、更新料が発生することがあります。

    • 定期借家契約: 期間を定めることができ、その期間が満了すると契約は終了します。原則として更新はありませんが、再契約は可能です。例えば、「〇年〇月〇日まで」というように、契約期間が明確に定められています。転勤中の持ち家を一時的に貸したい場合などによく利用されます。

  • 期間の定めがない場合: 契約書に期間の記載がない場合でも、原則として契約は有効です。しかし、賃貸人(大家さん)側から契約を終了させるには、後述の「正当事由」が必要となります。

東京都心部のマンションの賃貸契約では、ほとんどが2年間の普通借家契約となっています。2年ごとに更新を行い、更新料や更新事務手数料が発生するのが一般的です。


2-2. 使用貸借契約の存続期間~貸主の都合で終わりやすい~

使用貸借契約には、賃貸借契約のような期間に関する明確なルールがありません。これが、使用貸借の不安定な点です。

民法では、以下のように定められています。

  • 返還の時期を定めた場合: 例えば、「息子が大学を卒業するまでの5年間」といったように、貸し借りする期間を明確に定めていれば、その期間が満了すれば契約は終了します。

  • 返還の時期を定めなかった場合: これが使用貸借の最も不安定な点です。貸主は、いつでも返還を請求することができます。ただし、「使用及び収益の目的を定めたとき」は、その目的を達するまでの間は、原則として返還を請求できないとされています。 例えば、「Aさんが店舗として使用するため」と目的が明確な場合は、Aさんが店舗として使用している間は、貸主は一方的に返還を請求できない、と解釈されることがあります。しかし、この「目的」が漠然としている場合や、目的を達成したとみなされる場合は、貸主はいつでも返還を求めることができるとされています。


  • 賃貸借の例: 「この部屋は2年間借りられますよ。2年後も住み続けたい場合は更新できます」といった契約が一般的です。もし大家さんが「急に必要になったから出ていってくれ」と言っても、正当事由がなければ簡単に立ち退きを要求することはできません。東京の賃貸物件では、この「正当事由」が非常に厳しく判断される傾向にあり、借りる側の権利が手厚く保護されています。

  • 使用貸借の例: 「親戚のおばあちゃんが、老後のために都内の空き家を無料で使わせてあげる」という場合。もしおばあちゃんの体調が悪化し、息子さんが同居することになった場合、息子さんは「この家を使うから出ていってほしい」と、原則としていつでも要求することができます。借りている側は、自分の都合だけで住み続けることは難しいのが使用貸借の現実です。


このように、賃貸借は比較的長期安定的に利用できるのに対し、使用貸借は貸主の都合や状況に左右されやすく、不安定な側面があることを理解しておくことが重要です。 私たちS&S.Labo株式会社は、東京都内での豊富な取引実績を活かし、皆さんの不動産に関する疑問や不安を解消するお手伝いをしています。契約に関するご相談はもちろん、物件探しから売買・賃貸のサポートまで、幅広く対応しております。

お困りごとがありましたらS&S.Labo株式会社にお問い合わせください。

 
 
 

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