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更新料はなぜ払うの?仕組みと交渉のポイント

  • 執筆者の写真: 涼 濱中
    涼 濱中
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

1. 更新料とは何か?

賃貸住宅の契約は、多くの場合「2年間」などの期間が定められています。この契約期間が満了する際、契約を延長(更新)する場合に発生するのが「更新料」です。例えば家賃8万円の物件で、更新料が「新賃料の1か月分」と定められていれば、次の2年間契約を続けるために8万円を家主に支払う必要があります。


2. 更新料の法律上の位置づけ


2-1. 法律で定められているのか?

実は、日本の法律に「必ず更新料を払わなければならない」という明確な規定はありません。賃貸借契約において更新料を請求できるかどうかは、「契約書にその旨が明記されているか」が重要なポイントです。

2-2. 最高裁判所の判例

2011年に最高裁判所が「契約内容として合理的であれば有効」とする判決を下しました。つまり、契約書に明記され、金額や支払い時期が明確であり、かつ社会通念上妥当と認められれば更新料は有効です。


3. なぜ更新料が存在するのか?

更新料の背景には、いくつかの理由があります。

  1. 貸主の収入補填

    • 賃料は固定されていても、物価や税金は上昇します。その補填として更新料が設定される場合があります。

  2. 長期入居によるメリットとの交換

    • 入居者が長く住み続けることで、空室リスクや新規募集の広告費用が減ります。その代わりに更新時にまとまった収入を得る仕組みです。

  3. 地域的慣習

    • 特に首都圏では「更新料1か月分」が半ば慣習化しており、貸主・仲介業者・入居者ともに一般的なものとして受け止められています。


4. 更新料の金額相場

地域

相場

備考

東京都・神奈川

家賃1か月分

一部物件では0.5か月分も有

千葉・埼玉

家賃1か月分〜0.5か月分

低額物件は減額傾向あり

関西圏

家賃1か月分〜2か月分

礼金文化の影響

地方都市

なし〜0.5か月分

更新料ゼロ物件も多い

5. 更新料の交渉は可能か?

結論から言えば「可能」です。ただし、全てのケースでうまくいくとは限りません。以下のようなケースでは交渉が通る可能性があります。

  • 契約更新の時期に空室が目立っている

  • 長期間、家賃の遅れがなく良好な入居実績がある

  • 近隣に更新料なしの競合物件が多い


6. 交渉のタイミングと方法

  1. タイミング

    • 更新案内が届く(通常は契約満了の2〜3か月前)時点で行う

    • 直前では貸主側の対応が固まってしまう場合が多い

  2. 方法

    • 「家賃はそのままで更新料を半額にしてほしい」

    • 「更新料をゼロにして、その分長く住み続けたい」

    • 書面またはメールで冷静に依頼する(電話だけより記録が残る)


7. 更新料を減らすための戦略

  • 事前リサーチ近隣相場や更新料なし物件の存在を調べておく。

  • 長期入居アピール「これまで◯年間、家賃滞納なしで住んでいる」という実績を伝える。

  • その他条件の譲歩更新料減額の代わりに「共益費を上げてもOK」など柔軟に交渉する。


8. 更新料が払えない場合の選択肢

  1. 分割払いの相談

    • 一括が難しい場合は、家主や管理会社に分割払いを依頼する。

  2. 更新せず退去

    • 更新料が高すぎる場合、更新せずに引っ越すという選択も。

    • ただし引越し費用や新規契約の初期費用を計算して比較が必要。


9. 更新料ゼロ物件の増加傾向

近年は「更新料なし」の物件も増えています。その背景には…

  • 若年層の移動が多く、長期入居が減った

  • 更新料に対する入居者の拒否感

  • ネット広告による競争激化

ただし、更新料ゼロ物件は「家賃がやや高め」に設定されている場合も多いため、総コストでの比較が必要です。


10. 専門家からのアドバイス

更新料は「払うべきか・払わなくていいか」という二択ではなく、「契約書にどう書いてあるか」「条件交渉ができるか」で結果が変わります。契約更新時には必ず契約書の該当条項を確認し、納得いかない場合は根拠を持って交渉することが重要です。



  • 更新料は契約書に明記されていれば有効

  • 相場は地域や物件によって異なる

  • 交渉は早めに、根拠を持って行う

  • 更新料ゼロ物件も増加しているが、総コスト比較が必要

更新料をただ支払うだけでなく、その金額や条件を理解し、自分にとって最適な住まい選択をすることが、長期的な生活コスト削減につながります。 私たちS&S.Labo株式会社は、宅地建物取引士の専門知識と、東京都内での豊富な取引実績を活かし、皆さんの不動産に関する疑問や不安を解消するお手伝いをしています。契約に関するご相談はもちろん、物件探しから売買・賃貸のサポートまで、幅広く対応しております。

お困りごとがありましたらS&S.Labo株式会社にお問い合わせください。


 
 
 

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