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賃貸借契約の「終了」どんな時に契約は終わるの?

  • 執筆者の写真: 涼 濱中
    涼 濱中
  • 6月17日
  • 読了時間: 7分
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こんにちは!S&S.Labo株式会社です。

前回は”契約の「存続期間」”についてお話させて頂きましたが今回は賃貸借契約の終了とはどうゆうことなのかをお話しさせて頂きたいと思います。

賃貸借契約は、一度結んだら終わりまで住み続けられるわけではありません。様々な理由で契約が終了することがあります。ここでは、賃貸借契約が終了する主なケースを書きたいと思います。


3-1. 期間満了による終了(更新しない場合)

契約書に「契約期間:2年間」と定められている場合、その2年間の期間が満了すれば、契約は終了します。ただし、前述の借地借家法により、賃貸人(大家さん)から更新を拒絶する場合、あるいは期間満了によって契約が終了する場合には、原則として「正当事由」が必要となります。


  • 普通借家契約の場合: 期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、賃貸人(大家さん)が更新を拒絶する旨の通知をしない限り、契約は自動的に更新されたとみなされます(法定更新)。もし賃貸人が更新を拒絶する場合は、この期間内に通知し、かつ、後述の「正当事由」が必要です。賃借人(入居者)側からは、期間満了時に更新しない旨を通知すれば、契約は終了します。


  • 定期借家契約の場合: 期間が満了すれば、原則として契約は終了します。賃貸人からの更新拒絶や正当事由は不要です。賃貸人は、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、賃借人に契約が終了する旨を通知しなければなりません。


【ケース1】

「海外転勤で2年間だけ東京に住む」という方が、家具家電付きの定期借家物件を契約するケースがあります。2年経てば自動的に契約が終了するので、スムーズに退去できます。 一方、一般的な普通借家契約の場合、大家さんが「相続で実家を建て替えるから出ていってほしい」というような場合でも、立ち退き料の支払いなどを含め、正当事由が認められるかどうかの交渉が必要になることがあります。


3-2. 解約による終了

契約期間の途中で、どちらか一方から契約を終わらせることを「解約」と言います。


  • 賃貸人(大家さん)からの解約: 期間の定めがある契約の場合、原則として期間中に賃貸人から一方的に解約することはできません。期間の定めがない契約の場合でも、賃貸人から解約を申し入れるには、原則として「正当事由」が必要となります。正当事由の判断は非常に厳しく、多くの場合、立ち退き料の支払いを伴う交渉となることがほとんどです。通知期間は6ヶ月以上前と定められています。

  • 賃借人(入居者)からの解約: 契約書に「解約予告期間」が定められているのが一般的です。「1ヶ月前までに通知すれば解約できる」といった条項です。賃借人は、この予告期間を守って通知すれば、期間の途中でも解約することができます。


【ケース1】 賃貸マンションに住んでいたが、急な転勤が決まり、契約期間の途中で退去することになった場合、契約書に定められた1ヶ月前(または2ヶ月前など)の解約予告期間を守って大家さんに連絡すれば、問題なく解約できます。この際、残りの期間の家賃を支払う必要はありません。


3-3. 債務不履行による解除

賃貸借契約は、賃貸人と賃借人の間で「賃料を払う」「部屋を使う」といった約束(債務)を守ることを前提にしています。どちらかがこの約束を破った場合、相手方は契約を解除することができます。これを「債務不履行による解除」と言います。


  • 賃借人(入居者)の債務不履行の例:

    • 賃料の不払い(家賃滞納): 最も多いケースです。通常、3ヶ月以上の家賃滞納があると、賃貸人からの解除が認められやすくなります。

    • 無断転貸・又貸し: 大家さんの承諾なしに、借りた部屋を他の人に貸す行為。

    • 用法違反: 契約で「住居専用」とされているのに、無断で事務所や店舗として利用する。

    • 迷惑行為: 近隣住民に著しい迷惑をかける行為を繰り返す(騒音、ゴミ出しルール違反など)。

    • 善管注意義務違反: 借りた部屋を故意に傷つけたり、著しく汚したりするなど、善良な管理者の注意をもって部屋を使用しなかった場合。

  • 賃貸人(大家さん)の債務不履行の例:

    • 修繕義務の不履行: 部屋に雨漏りが発生しているのに、大家さんがいつまでも修繕してくれない場合など。

    • 使用収益させる義務の不履行: 鍵を交換して貸してくれない、などの場合。


ただし、これらの債務不履行があったとしても、すぐに契約解除ができるわけではありません。まずは、相手方に「〇月〇日までに〇〇をしてください。しない場合は契約を解除します」といった形で、催告(警告)を行うのが原則です。それでも相手が債務を履行しない場合に、初めて解除が可能になります。


【ケース2】 家賃滞納で困っている大家さんからの相談は後を絶ちません。特に東京は賃料が高いので、一度滞納が始まるとすぐに金額が大きくなってしまいます。多くの場合、保証会社が入っているため、保証会社が代位弁済(一時的に家賃を立て替えて支払う)してくれることが多いですが、それでも滞納が続けば、最終的には賃貸人から解除通知が届き、裁判所に訴えられて強制執行(立ち退き)になる可能性もあります。


3-4. 合意解除

賃貸人と賃借人の双方が「もう契約を終わらせましょう」と合意すれば、いつでも契約を終了させることができます。期間の途中であっても、解約予告期間に関係なく、お互いの合意があれば解除は可能です。


【ケース3】 賃借人が海外へ転居することになり、急いで部屋を引き払いたいが、解約予告期間が間に合わない。大家さんに相談したところ、次の入居者がすぐに見つかりそうなので、解約予告期間なしで合意解除してもらえた、といったケースがあります。


3-5. 正当事由とは?~賃貸借契約の終了を巡る重要なキーワード~

賃貸借契約(特に建物の賃貸借)において、賃貸人からの更新拒絶や解約には「正当事由」が必要であると、借地借家法で定められています。この「正当事由」の有無が、賃貸人側からの契約終了の可否を大きく左右します。


【正当事由が認められる要素】

裁判所は、正当事由の有無を判断する際に、様々な要素を総合的に考慮します。

  1. 賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情(必要性の程度)

    • 賃貸人が住む家が他にない、賃貸人やその家族がその建物をどうしても使わなければならない、といった事情があるか。

    • 賃借人もその家を必要としているか(他に住む場所があるか、高齢で転居が困難かなど)。

    • 例えば、賃貸人が老朽化した自宅を建て替えるために、賃借しているアパートを取り壊す必要があるといった場合。

  2. 賃貸借に関する従前の経過

    • 過去に家賃滞納があったか、トラブルがなかったかなど。

  3. 建物の利用状況

    • 建物が適切に利用されているか、放置されていないかなど。

  4. 建物の現況

    • 老朽化が進んでおり、大規模な修繕や建て替えが必要な状況か。

  5. 立退料の提供

    • 賃貸人が賃借人に対して、立ち退きの費用として金銭(立ち退き料)を提供する場合、正当事由が補強されることがあります。


【事例と正当事由の厳しさ】 東京都内、特に住宅が密集している地域では、大家さんが「老朽化が進んだアパートを建て替えたい」と思っても、入居者がいる場合、簡単に立ち退きさせることはできません。裁判所は、賃借人の居住権を非常に手厚く保護する傾向にあります。

例えば、築50年の老朽化したアパートでも、賃貸人が他に住む場所がある場合や、建て替え計画が漠然としている場合、正当事由はなかなか認められません。仮に正当事由が認められたとしても、数百万円単位の立ち退き料の支払いが命じられることも少なくありません。

賃貸人が「転勤で東京に戻ってきたから自分のマンションに住みたい」というようなケースでも、賃借人が他に住む場所が見つからない、高齢で転居が困難といった事情があれば、正当事由が認められないこともあります。

この「正当事由」の問題は、賃貸借契約において最もトラブルになりやすい点の一つです。


私たちS&S.Labo株式会社は、東京都内での豊富な取引実績を活かし、皆さんの不動産に関する疑問や不安を解消するお手伝いをしています。契約に関するご相談はもちろん、物件探しから売買・賃貸のサポートまで、幅広く対応しております。

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